所感
本書はグローバル化や技術革新によって、今後どういった職業が食えなくなるかを分析し、より有利な職業に就くための指針を提供するものである。
職業を2つの評価軸(スキルと日本人メリット)で4つの象限に分類する(図1)。日本人メリットとは、日本生まれ育った日本人でないと身に付けられない特殊性のことだ(e.g. ネイティブな日本語、協調性 etc.)。本書の内容は一貫して図1の説明に費やされる。
重力の世界にある職業はグローバル化によって、海外の低賃金労働者に置き換えられていく領域であり、世界最低賃金に収斂していく。この領域が今後食えなくなる。日本のフリーターは壊滅的なダメージを受けることになる。外国人に置き換えられにくい職業への転職を目指さないと、厳しい未来が待っている、という強いメッセージを感じた。
本書で印象に残ったのが、日本人メリットについての以下のような具体的な説明だ。日本人にとっては当たり前のことが外国人(中国人やインド人)にはできないことが多々あるようだ。
- 外国人警備員がモノを盗む事例
- 中国人は細かい仕事が苦手で直ぐに「差不多(だいたい同じ)」と言う
- 客に謝れない
- 個人主義であり、チームでカイゼンを行うという発想がない
本書は2012年2月に発行された古い本だが、グローバル化に関する視点は今後も通用する内容だと思う。現在は人工知能が急速に発展しており、重力の世界は食えないどころか、人間が働く領域ではなくなる可能性がある。益々食っていくことが難しい世界になっていきそうだと感じた。
著者
渡邉 正裕
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