所感
オブジェクト指向が全てを変えてくれる。私はそう信じてクラスを実際に使ってコーディングを行い、そして壁にぶつかった。多数のプロパティ・メソッドを持つ巨大なクラス。必然性のない再利用のためだけの継承。長いメソッド。手続き型プログラミングよりはプログラムの表現方法は増えたが、モヤモヤしていた。
私がクラスを使ってプログラミングを始めた頃、既にアジャイル開発やデザインパターンの本を読んでいた。だからこそ、経験がないくせにオブジェクト指向を信仰していたのだ。
そんな境遇の中で出会ったのが本書だ。本書はオブジェクト指向のありがちな誤解や著者自身の失敗体験から、オブジェクト指向について説明してくれる。まさに失敗している最中だった私にとっては、「お前は俺か!」と言いたくなる様な内容であり、楽しく納得しながら読めた。
特に、以下のようなデザインパターンとの付き合い方についてとても参考になった。
- デザインパターンのような優れた設計は責務に従って分割統治を行えば自然と導出できる。
- デザインパターンはオブジェクト指向に習熟して初めて使いこなせるようになる奥義ではなく、原則を学ぶための格好の教材だ。
しかし、本書の後半になると、内容が抽象的すぎて理解が追い付かないこともあったが、経験を積んでもう一度読み直してみると理解できた。
本書はプログラマの私を基礎づけた重要な書籍の1つだ。
著者
アラン・シャロウェイ
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