対象読者
- 人工知能の歴史を数式なしで簡単に学びたい方
- ディープラーニングは従来のAI技術と比べて何が凄いのか知りたい方
結論
人工知能は現在3回目のブームを迎えている。以下にそれぞれの技術的な主役を列挙する。
- 1956~1970:第1次ブーム(推論・探索)
- 1980年代 :第2次ブーム(エキスパート・システム)
- 2012~現在 :第3次ブーム(ディープラーニング)
以下でそれぞれのブームの興りと終焉を見ていく。
第1次ブーム(1956~1970)
コンピュータの目覚ましい計算能力を見て、人はコンピュータが人間を超えるのではないか、と感じた。以下のようなことをAIが実現するのを目の当たりにして、人々は熱狂した。
- 数学の定理を自動で証明
- 英語の指示に従って積み木を動かす
- ものすごい速さで迷路のゴールを見つける
- [1997年]チェスで人間に勝つ(IBMのディープブルー)
第1次ブームの終焉
コンピュータはルールや対象・操作が明確で単純な問題(トイ・プロブレム)しか解けないことが分かってきた。しかし、人が対峙する実際的な問題は曖昧で複雑だ(e.g. 会話、経営、デザイン)。
AIがやっていたことは膨大で力任せな探索(ブルートフォース)でしかなかった。計算能力を発揮し、力任せに場合分けを解くくことで上記のタスクをこなしただけだった。電卓は人間より遥かに高速に計算をやってのける。AIはちょっと複雑な対象に適用できるようになった電卓と大差なかったのだ。
こうしてAIは実用に堪えないことが分かり、ブームは終了した。
第2次ブーム(1980年代)
実用では使えなかったAIだったが、専門的(エキスパート)な知識を組み込むことにより、それが可能になり、再びブームが巻き起こる。
- [1970年代初め]患者に質問し、回答を得ることで、病気を診断できる(マイシン)
- [1960年代]未知の有機化合物を特定できる(DENDRAL)
- [2011年]クイズ番組にてチャンピオンに勝利(IBMのワトソン)
第2次ブームの終焉
知識は条件文の組み合わせによって表現された。しかし、そこには以下のような困難な問題があった。
- 専門家へのヒアリングにかかる知識抽出コスト
- 知識間に矛盾が生じないよう管理
- 知識を記述すること(e.g. 胃のあたりがムカムカする、という曖昧な文に対してどう解釈するか)
結局、AIは概念を理解している訳ではなく、入力(e.g. 質問の解答)に対して、条件分岐に従って出力しているに過ぎなかった。その条件分岐は人間が設計しなければならず、入力データのどこに着目するかは研究者の経験と直観に依存した職人技によって決められた。
こうした困難さに直面したAI業界は人々からの高すぎる期待を裏切り、ブームは幕を閉じた。
第2次ブームまでのAIの限界
人間にチェスやクイズで勝ち、目覚ましい性能を見せつけたAIだった。しかし、AIがやったことは膨大な探索と条件分岐の処理に過ぎず、人間のような知性を実現できなかった。
以下でAIに解けない2つの問題をまとめる。ポイントは人間の常識を
フレーム問題
フレーム問題とは、現実世界から問題解決と関連のある情報のみを選び出すことが困難である、という問題だ。
人間はフレーム問題を自然に解いている。例えば、料理をする、という問題を解く時、材料、調理器具、火加減等に着目して、適切に
グランディング問題
グランディング問題とは、AIは記号とその意味を結びつけることが難しい、という問題だ。
人間は言葉を操る。言葉とは、ある概念を表現する
第3次ブーム(2012年~現在)
2012年に画像認識の世界的なコンペが開催された。ヨットや花、動物などが撮られた画像から、被写体のラベルを言い当てる精度が競われた。そこでは東大やオックスフォード大などの名立たる参加者が画像認識の失敗率26%~あたりでせめぎ合っていた。
そこにトロント大がディープラーニングをひっさげて初参加し、失敗率15%台の桁違いの高精度を示し、優勝した。失敗率は1年で1%下げるのがやっとだという世界だったため、この出来事は大きな衝撃となり、第3次ブームが幕を開けることとなった。
今までのブームとは訳が違うディープラーニングの凄さ
ディープラーニングのブレークスルーは第2次ブームでの限界であった知識の表現を自動的に獲得できる点だ。これにより、1・2次ブームでの限界を補完でき、AIは大きく飛躍することになる。
2016年、AIは囲碁で世界チャンピオンに勝利した(AlphaGo)。囲碁はチェスに比べて、次の一手を決めるための盤面の評価が困難だ(2次ブームでの限界)。その評価方法をディープラーニングを用いることにより、自動で獲得できるようになった。
今後(いや、現在も)、世界はディープラーニングによって大きく変わっていくことは避けられないだろう。
ディープラーニングの限界
知識表現を自動で獲得できる点がディープラーニングの
日本のAI開発現場
やはり、ブ
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