対象読者
- 理系科目の文章問題が苦手な方(高校生の方でもおk)
結論
以下の手順に従えば、文章問題は解ける。
- 回答で求められる値が何個あるか把握する
- 問題文で値が分からないものを変数(未知数)でおく
- 変数の数だけ方程式を用意する
- 方程式を解いて回答する
以下で中学数学の文章問題が上述の手順に従うだけで解けることを確認する。この方法は高校物理など、文章から立式する必要がある問題全てに対応できる。
最重要な手順は3.だ。一般に、未知数を求めるには、未知数と同じ数の方程式が必要となる。
方程式とは、変数と変数の関係のことだ。問題文には日本語で方程式が書かれている。それを数式に翻訳するがことが文章問題のキモだ。変数と同じ数の方程式を見つけ出すことができれば、既に問題は解けているも同然だ。
中学数学の連立方程式の文章問題
問題文の読み方
以下に文書問題の例題を示す。この問題文の読み方は国語の読解問題と同じようにすることをお勧めする。つまり、いきなり問題文は読まずに、設問を見た後に読むのだ。同様に、以下で例題の解き方を確認した後に問題文を見て欲しい。ゴールが分かっていると、文章を読む作業が簡単になるからだ。
例題本文 [参考※1より引用]
バスケットボールの試合でA組とB組が対戦しました。
試合は4点差でA組が勝ちました。
A組は、成功させたシュートの本数のうち3本が3点シュートで、
残りはすべて2点シュートでした。
B組は、成功させたシュートの本数はA組より2本少ない数でした。
また、B組が成功させたシュートの本数の1/6(6分の1)が3点シュートで、
残りはすべて2点シュートでした。
このとき、A組が成功させたシュートの本数とA組の得点を求めなさい。
例題を解く
手順1 ~回答で求められる値が何個あるか把握する~
文章の最後に何を回答しなければならないかが書いてあることが多い。なので、後ろから読んでみる(問題文の読み方と同じ)。
すると、回答で求められる値は、
- A組が成功させたシュートの本数(\(a\)とおく)
- Aの得点(\(A\)とおく)
の2種類であることがすぐに分かる。
手順2 ~問題文で値が分からないものを変数でおく~
手順1より、2種類の値を求めなければならないことが分かった。2種類の値を解くためには、2種類の方程式が必要になる。しかし、この問題では、以下のように回答とは関係ない変数がさらに2つ登場するので、以下の変数をおく。小賢しいマネを。
- B組が成功させたシュートの本数(\(b\)とおく)
- Bの得点(\(B\)とおく)
手順3 ~変数の数だけ方程式を用意する~
変数と同じ数だけ方程式が必要となる。なので、今回は合計で4つの式を立てる必要がある。文章を読むと、得点に関する等式と、シュートの本数に関する等式が2つずつ求められる。
\begin{eqnarray*} A &=& B + 4 \\ A &=& 3 \times 3 + 2 \times (a – 3) \\ b &=& a – 2 \\ B &=& 3 \times \frac{b}{6} + 2 \times \frac{5b}{6} \\ \end{eqnarray*}何に関する方程式を立てなければならないかは問題文を全て読まなくても、回答で必要となる変数がシュートの本数と得点であることから推測することができる。どうせ、シュート本数や得点に関する条件が問題文に書いてあるんだろう?ってね。
予測を得てから問題文を読むことのメリットは、回答と無関係な箇所を無視できる点だ。重要な部分に集中でき、効率的に文章を読むことができる(問題文の読み方と同じ)。例えば、この問題はバスケットボールでなくとも、サッカーとかでも成り立つし、何のゲームなのかは問題を解く上では関係がないので無視してよい。
手順4 ~方程式を解いて回答する~
手順1で、求めたい変数は\(a\)と\(A\)であることは既に分かっている。なので、回答に必要ない変数を消去する、つまり\(b\)と\(B\)を式同士の足し算、引き算または代入によって消去し、整理していく。このように式変形を繰り返せば、\(a\)と\(A\)の値を求めることができる。
細かい式変形は省略するが、答えは\(a=20, A=43\)となる(詳細はおまけ)。
(問題文へ戻るにはこちら)
他の理系科目の文章問題にも応用できる
方程式の立て方が特殊になるが(運動方程式など)、高校物理の文章問題も、中学数学の文章題と同じ構造をしている。結局は変数と同じ数の式を立てて整理するだけだ。むしろ、方程式の立て方が決まり切っているので、数学よりも物理の方が簡単だと思う人もいるかもしれない。
中学数学の文章問題を押さえられれば、理科の問題にも応用できる。高校では、化学や物理などにも応用できる。複数科目で良い点数をとることが期待できるので、是非、本記事のポイントを押さえていただけると幸いだ。
おまけ:連立方程式を解く
ここで述べる式変形は1例に過ぎない。他にもいろいろな変形過程があるに違いないという点に注意して読んで欲しい。
手順3の連立方程式をちょっと整える。
\begin{eqnarray*} A &=& B + 4 \tag{1}\\ A &=& 3 \times 3 + 2 \times (a – 3) \\ &=& 2a + 3 \tag{2}\\ b &=& a – 2 \tag{3}\\ B &=& 3 \times \frac{b}{6} + 2 \times \frac{5b}{6} \\ &=& \frac{13b}{6} \tag{4} \end{eqnarray*}今、回答と無関係な\(b\)と\(B\)を消去したい。連立方程式を眺めると、
- 式(3)によって、\(b\)は\(a\)を用いて表すことができる(\(b\)の消去)
- 式(3)を式(4)に代入することで、式(4)は\(B\)を\(a\)へ変換する式となる(\(B\)の消去、式(4.1)とする)
- 式(4.1)によって、式(1)の\(B\)を除去できる(式(1.1)とする)
- 式(1.1)と式(2)を合わせると、求めたい変数\(a\)と\(A\)に関する連立方程式となる
- 式(2)によって、\(A\)は\(a\)を用いて表すことができる(\(A\)の消去)
- 式(2)によって、式(1.1)の\(A\)を消去することで、\(a\)が求まる
- 6.の結果によって、式(2)の\(a\)を消去することで、\(A\)が求まる
ということが分かる。まとめると、
\begin{eqnarray*} B &=& \frac{13b}{6} \\ &=& \frac{13}{6} (a- 2) \tag{4.1} \\ A &=& B + 4 \\ &=& \frac{13}{6} (a- 2) + 4 \\ \Leftrightarrow 6A &=& 13a – 2 \tag{1.1} \\ \Leftrightarrow 6(2a + 3) &=& 13a – 2 \\ \Leftrightarrow a &=& 20 \\ A &=& 2 \times 20 + 3 \\ &=& 43 \end{eqnarray*}
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